2011年7月14日木曜日

1 はじめに

 この度の東日本大震災及び福島第一原発事故の被害にあわれました方々につきましては、心よりお悔やみ申し上げます。
 自分は現在都内在住ですが、生まれと育ちは福島で、両親や親戚が暮らしております。3月の震災以来、月に一度は家に帰って落ちた瓦や部屋の整理などをしていたのですが、5月末にガイガーカウンターを購入し様々な箇所を測定したところ、放射線量が予想より高い事がわかりました。
 空間線量は公表値と変わらぬものの、地面やコンクリート、石など様々な箇所が高濃度で汚染されている事が判明しました。今は原発から流れ落ちてくる物質は少ない筈ですから、周りに付着した放射性物質を減らさない限り、線量は低下しないのではないか、と感じ始めました。そこで除染方法を幾つか試してみて、その結果を記したのがこのブログです。
自分は放射線や放射性物質の専門家ではないため、ここに示した数値も間違った点があるかもしれません。また方法にしても不完全な所があるのは確かです。ですが、少しでも身の周りにある放射能を減らす事で、一日でも早く皆が安心して暮らせる福島になって欲しいと思い、ブログの形で公表しようと思いました。参考にして頂ければ幸いです。

2 測定

 ガイガーカウンターの機種はSEインターナショナル社のインスペクタープラスです。α線、β線、γ線全て測定可能な状態です。数分置いて安定した状態の数値を写真撮影しています。

 まず空間線量ですが、2-1に示した通りで、大体当時の公表値と同じくらいです。
2-1


 次に、地面を測定しました。この時は汚れないようにビニール袋に入れたため、厳密にはα線は測定できていません。
2-2



次に、雨どいを測定しました。ネットでも高いとの情報がありましたが。。
2-3






2-4

やはり高いです。。
この他、屋根瓦も0.5-0.7μSv/hの高値でした。恐らく飛散した時に瓦にかなり付着したのだと思います。現在、屋根を修繕している家が多いと思いますが、瓦屋さん達は作業後に体を良く洗う等の対策をする事をお薦めします。

3-1 石の除染

 用意するもの;
 手袋、マスクなど、自分の身を防御する服装。可能なら長袖の方がいいです。帽子、ゴーグルも可能なら。
  タオル、雑巾。後述するような使い方をするので、少し厚手で数cmに小さくした形が良いかもしれません。
  洗剤;これが一番大事で、除染洗浄に使われる無リン酸洗浄液を使用しました。これは現時点で楽天などでも購入可能です。 
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kidomino/2-4511-01.html
ただし基本的に研究・産業用途なので、一般の方の使用は推奨されておりません。特に下記の点は気をつけて下さい。

◯誤飲を防ぐため、子供等の手に届かない所に保存する事。
◯食器等の体に取り込む可能性がある物には使用しない事。
◯手袋を使用する事。強アルカリ性なので、直接肌に触れないようにして下さい。
 以上の事を守り、使用の際は自己責任でお願い致します。なお自分は職業柄何度も使いましたが、今まで体調に問題を感じた事はございません。

まず、石で試してみました。これは除染前
3-1-1
3-1-2



以下の方法ですが、基本的にタオルで拭き取る、という操作を行いました。つまり水ないし洗剤を石の上にかけ、それをタオルで拭き取ります。そうする事でタオルに放射性物質が付着します。
まずは水拭き
3-1-3




次に家庭用洗剤。少々上がっているのは誤差です。
3-1-4




今度は例の除染用洗剤。ご覧の通り、半分近くに落ちました!原液を使った方が良いようです。
3-1-5





拭き取ったタオルも測定しましたが、そちらに放射能物質が移った事を確認できました。問題はタオルの処理ですが、後ほど4で考えを書きます。

3-2 除染 雨どい1

次に、2-3で測定した雨どいです。まず下が土の箇所は、削ることにしました。
削った後
3-2-1


測定写真です。2-3と比べ半分ぐらいの低下です。
3-2-2

3-3 除染 雨どい2

 今度は、2-4にありました、下がコンクリート部の雨どいです。やはり3-1と同様、除染用洗剤を使いました。これは洗浄後の様子です。
3-3-1


測定したところ、半分ぐらいに落ちました。
3-3-2




さらに水ですすぐと、0.9μSv/hまで落とす事ができました。
3-3-3


4 問題点、注意点

4 問題点、注意点
以上、自分なりに除染を行いましたが、幾つか問題点、注意点がありましたので、ここに記します。

◯使用したタオルやゴム手袋の処理;これが一番問題です。拭き取ったタオルには高線量の放射性物質が含まれます。
 因みに普通の放射性物質は下記の写真1のようにドラム缶に保存されます。
 ただ一般の物質を受け入れてもらえるとは思えないので、取りあえずビニール袋に入れて金属製のドラム缶、箱等に保管するのが良いかと思います。それで庭先等、人が普段通らない所に一時保管をお薦めします。ドラム缶等は複数の人達で共有すると良いでしょう。
 漏れない箱に入れ、庭に埋めるのも良いですが、山等への不法投棄は絶対にしないで下さい。

 結局無くならないのか?と思われるかもしれませんが、日常生活で浴びている放射能がタオルに濃縮されるのですから、今迄より安全の筈です。また今後、国や県が除染活動を行うようなので、その際に処分する事も可能かと思います。
 拭き取った後の水洗いですが、多少流れるのは確かです。ただ、予め高線量の物質を拭き取るので、高圧放水より拡散は減らせると思います。


◯洗剤は原液が有効です。10倍希釈液でも確認しましたが、効果は弱かったです。良くても2倍〜3倍希釈で使って下さい。また拭き取る際、タオルに少量の水を染み込ませると拭き取りやすくなります。この辺は改良の余地ありです。くれぐれも手袋を着用し、肌に触れないようにして下さい。

◯一度で減る量が少なく感じるかもしれません。しかし一定期間後に測定したところ、洗剤による拭き取りでも土の除去でも、線量の増加は見られませんでした。何回か拭き取る事で、線量を低下させる効果があります。何度も除染する事が大事です。

◯砂利や土の除染
 自分の家の庭は多量の砂利が敷き詰められていて、この除染が可能かどうか調べたのですが、量が多過ぎて、とてもじゃないですが不可能でした。掘り返すか、新たな土と砂利を持ってきて埋めるしかなさそうです。
 農地の汚染は、意外に低い値でした。何もしてない農地は高値だったので、掘り返し等を繰り返す事でどんどん薄まるのかもしれません。完全に0とはいかないだろうから、難しい所ではあります。


◯家の中での汚染
 木造ですが、家の中の方が低かったです。ただカーペットが0.5-0.9μSv/hを示しました。恐らく出入りの関係かと思います。20年ぐらい使い愛着あったのですが、捨てました。玄関等は意外に低かったです。

◯残念ながらコンクリート部分でも落ちなかった箇所もありました。理由は不明ですが、かなり陽に当たる場所だったので、既に落ちづらいのかもしれません。こういった場所は高圧放水等の方法しかないのかもしれません。


◯可能なら、効果の確認としてガイガーカウンターによる計測をお薦めします。自分も測定して身の周りが如何に放射能を発するか自覚しました。勿論、今の状態で大丈夫な地域もあるとは思いますが、元々無かったものを減らしても罰は当たりません。出来る範囲で除染しましょう。
 特に、専門家に聞いた所、個人で生涯浴びて問題ない線量が100mSvとの事でした。つまり、今年20mSv/年としても来年以降低くならないと、あっという間に危険な領域に達する、という事です。
 除染をしなくても大丈夫な可能性もあります。しかし、現在のような事態は過去例がないのも事実で、だからどの専門家も保証をしていません。ですから、少しでも除染する事で、安心出来るかと思います。

5 最後に

 以上、自分でやった除染の感想を述べました。勿論これで全て解決出来るとは思いませんが、多少なりとも改善できればと思います。
 ご意見がございましたらこのメールまでお願いします。
自分は福島在住でないので難しい点もありますが、出来る限り力になれればと思っています。

 皆で福島の未来を創りましょう!